このお正月休み中にさいごまで読み切れたのは1冊だけ。
取り憑かれたように追い続けてる森達也さんの「ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー」という「おはなし」です。
ほんとなら、こんな歴史モノは「ノンフィクション」とか「小説」とか「伝記」とか、そういう括りがあってしかるべきなのですが、やっぱりこれは「おはなし」がぴたり。
読み続けるにつれ、たしかに内容は「ベトナムの歴史から消えた王子さま」を追いかけてるのですが、森達也が「おはなし」してくるのです。例によって、例の調子で、例のとおりに。
この「クドさ」が耐えられない方には、きっとそれはもう「うっとおしく」思えてならないでしょう。
でも、個人的には、嫌いじゃないです。なんどもなんども、「ちょっと枯れたような」、「いまどきの若い人がついてこられないような」お仕事の理想論を、シラフなのに繰り返して語り続ける(でも、そこがなんとも憎めない)出世路線から微妙に外れちゃった「課長さん」みたいな、そんな感じ。(←部長じゃなくて課長って感じなのです。あくまでも。)
「うんうんそうですよね。(でも内心は「で、どうすればいいんですか課長!」と思ってる…。)」そんな相づちをうちながら読み進めていくと、気持ちがいいのです。
さいごの落としどころなんかは、前作の課長そのもので、その実は「紅白のオオトリでSMAPさんがもっともな感じでうまいこといってみたメッセージ」と、何ら変わりないことのようにみえてしまいます。
ヒラ社員の僕には、まだうまくはいえませんが「それはただ「うまいこといってる」だけで、本質は違うんじゃないか?」と。
本能的にそんな拒絶反応があるのですが。
ヨゴレ過ぎでしょうか。