この月末、ウチからすぐ近所のところに「大阪市立青少年文化創造ステーション」なる巨大な施設が完成するのです。
このご時世のなかみるみるウチにできあがったハコモノにもかかわらず、批判の声はあまり聞こえてこず(おおよそその理由[…ちょっと凄い理由]に察しはついてるのですが、ここでは割愛)、さらにきょうの産経(大阪朝刊)あたりでは提灯記事が踊る始末。(でも三段抜きで格好良く飾った「写真」は、実は建物の「ウラ」なのです。このパースの向きが「正面」です。)
二百歩くらい譲って、WTCやらATCは「アジアの貿易のハブになる」とか「関空効果を市内へ呼び込む」とか「それで経済が活性化」云々と、当時なりには相応の夢を描いてきてたとは思うのですが、この「青少年の文化を創造するハコモノ」っていうのは、前者よりも相当醜悪に感じます。
「青少年」「文化」「創造」「ステーション」ですよ。きれいなコトバが4つも並んで気持ちが悪いです。
そもそも、
「そのハコで創造される青少年の文化」って何なのか。とか、
「青少年の文化」はハコで創造されるものなのか。とか、
あたりまえのところで引っかかり出せばキリがありません。
いきおい、コンサルさん的に「青少年文化創造ステーション基本計画」なるものにあたってみたところ、設置の目的は、
(1)音楽・ダンス・美術など将来の目標を見極めた分野構造的なワークショップ事業を展開し、21世紀の国際社会を担うにふさわしい創造性、国際感覚、文化的教養を備えた人材として青少年を育成する。なんだそうです。
(2)スタジオや音楽教室など、多様化・高度化する青少年のニーズに対応した施設機能を貸し出し、アマチュアの音楽活動をはじめ様々な分野の文化創造を支援する。
(3)青少年が自由に活動できるスペースや、国内外の青少年青少年が宿泊できるユースホステル機能を整備し青少年の交流を図るとともに、レストランやアートショップを備え、町の活性化や地域の振興を図る。
まさか、
「ホールのイベント」で「ワークショップ事業」やってます。
「貸しスタジオたくさん」で「様々な分野の文化創造」やってます。
「ユースホステル」も入ってるので「青少年の国際交流」やってます。
「レストランやアートショップ」があるので「地域の振興」も図ってます。
みたいなハコモノ論法だけは勘弁願いたいところです。
ちなみにこの「基本計画」を受託したのはコンサルさんではなくってこのシンクタンクさんで、とりまとめはこの方がされたようです。さらにこの先生のとある長い講演録も見つけましたが、ここまで踏み込むのは自重しておきます。
と。
ここまでをよみかえすと、あまりにケチばっかりつけてるみたいで、シンクタンクさんに負けちゃうコンサルさんになってはいけないと思われますので、「青少年」の「文化」を「創造」する「ハコモノじゃない」私案をひとつ。
このハコがオープンするまでに費やされた予算は市の単費で70億。(さらにこれからもかかるランニングコストについてはとりあえずおいといて、)
これを、大阪市に住むぜんぶの中高生(約12万人)で案分すれば、ひとりあたま6万円になります。
たとえば、千円の本ならひとり60冊。どーんと「好きな本読んで」とプレゼントしちゃう「事業」は如何でしょうか。
唯一の条件を「校区内の本屋さんで買うこと」としてもらえれば、そっくり地域に還元です。回って不況の出版業界も潤う。というのは、きのう今月の「創」を読んだから。なのですが。
のん。さんから、 2004.02.20,23:52のコメント:
全然、関係ないんですけど。
そんな、シンクタンクさんの所在地。
相国寺門前町。
私の高校時代の恩師の住所と数番違い。
びっくりした〜。
・・・あっ、ちなみに、
そういう業界に疎いわたしは、
そのシンクタンクも、先生のお名前も初耳。
お恥ずかしいです。
恥かきついでに・・・。
新聞に掲載された「裏側からのパース」を見て、
かつて倒産した某銀行本社ビルを連想したのは
ひねくれたワタクシくらいでしょうか。
satoruさんから、 2004.02.21,00:40のコメント:
いましがた、まあちゃんにこの件を喋ってみたら、
「そんなところのスタジオでロックはできない。(=それはロックではない。)」
とひとことでバッサリやられてしまいました。
私(=腐ってもコンサルタント)がダラダラ書いた駄文よりもあまりに明快です。奥様に完敗です。
ちなみにそのあと、ロックのひとは、
「6万円あれば、ベースが買える」
と算段付けていました。なるほど、「本60冊」より現実味があるのですね。奥様に連敗です。
−−
のん様>
その「倒産した某銀行」が思いつけない私は、やはり今年は例の試験受ける資格がないものと思って生きていきます。
のん。さんから、 2004.02.21,19:20のコメント:
というか、
あなた様が「ひねくれものでない」という
証明なのでは。
追伸
ご無沙汰の奥様によろしく。
よんじゅさんから、 2004.02.24,12:51のコメント:
多分、新大阪にあって、市民の利用料金が安くないという時点で、市外利用者のための施設じゃないですかねー。JR尼崎駅前の公民館の防音設備のあるスタジオに京都や神戸の高校生が借りに来るらしいよ。電車台を考えても、利用料が安いらしいから。
フェスゲーが廃園ですね。ある番組で、「フェスゲーを作れって言ったのは誰や!」って言ってたけど、確か、元助役で現USJ社長のSさんだったと思う。できてしまったものは仕方がないですが、この文化創造ステーションを作れって言った人がSさん2世にならない様に祈るばかりです。ボクの税金が投入されているのだからね。
satoruさんから、 2004.02.27,20:02のコメント:
単純に儲かる儲からないで議論が済むものはまだいいと思うんです。
収益を目的にしない(=税金を使い続ける)公的施設も、もちろん必要だと思うんです。
ただ、これを「醜悪に感じる」いちばんの理由は、「青少年の文化創造」というどうにもパフォーマンスを計る方法のない抽象的なものがお題目に担ぎ上げられているというところ。
「税金がきちんと使われたのですか?」「はい、青少年の文化創造に使いました。」という尤もそうな理屈に対して、きちんとチェックができるのかどうか。その足元を見られているような気がしてなりません。
わたしは、このハコが、すべての青少年に対して「60冊の本」「20枚のCD」「1本のベースギター」以上の値打ちをもたらすのかどうか。という指標で睨んでみたいと思います。
ちなみに(ここからやや核心、)この文化創造ステーションを作れって言ったのは、「地域」ということになっているのです。
元々は「診療所を作って欲しい」というお願いをしていたのがポシャり、次善の策として「じゃあ青少年のための施設を…」と、そういう背景がチラつくと、さらにお題目が霞んで…きませんか?
よんじゅさんから、 2004.02.28,00:18のコメント:
行政がすべきことのひとつは民間では収益が上がらないために、手を出せないことだと思います。今回の施設はやり方によっては収益は出せるはずです。そんなところに手を出したのことに腹立たしさを感じます。ご指摘のとおり有効性は証明し難いでしょうね。今回の施設の場合は行政的には利用者数しかないと思うよ。(←あたりまえ)
一応、それなりの必要性を説いた理由があるんですよね。誰が書いたかは知りませんが。
この施設を作れといったのは「地域」なんですね。そんな地域の要望を聞くことができるほど大阪市はお金に余裕があるのか、大阪市があほなのか、その「地域」出身の有力議員がいるのかのどれかが、この施設が出来た要因だと思います。
satoruさんから、 2004.02.28,00:47のコメント:
なかなか(立場上?)思い入れ深いご意見、染み入ります。
わたしの思いは「『青少年』看板のいかがわしさ」のところなんですけれどね。
「この施設が出来た要因」の解については、まぁ、ナベの席で。